2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『なぜ人はキスをするのか?』(S.カーシェンバウム著、河出書房新社)を読む。 原題は「キスの科学」であり、ヒトがキスをする理由をティンバーゲンの至近要因と究極(進化)要因から考察してみようという本。第1部では人類の歴史のみならず動物においても…

わが背(せな)で君が奏でた小夜曲は今も聞こえる春が来るたび欲望と理性の危なきモザイクのわが存在は誰を求める一晩の逢瀬は夢のごとく過ぎ息苦しさの残る翌朝抱擁とキスに偽りないならば二人の中で時間が止まる束縛の僕(しもべ)となりて背徳のくちづけ…

『人が人を裁くということ』(小坂井敏晶著、岩波新書)を読む。 人が人を裁く裁判という制度は、真理を発見する装置ではなく、真実とは何かを定める政治的行為だという視点からその限界を論じる。神ではなく人が人を裁くのである以上、そこに過ちが必然的に…

『「ゆとり」と生命をめぐって』(鈴木晃仁編、慶應義塾大学出版会)を読む。 理系と文系をつなぐ「生命の教養学」のシリーズの一冊。「ゆとり」という実感としてはよくわかっているが、いざそれは何かといわれると答えに窮してしまう言葉をめぐって進化学、…

春祝いワイングラスに日曜の午後の光も満たし飲み干す恋をするレンズを通して見た君を私の海馬に定着させる服を脱ぎ鏡の中の隣人に恋打ち明けて夜は明けゆくレーテーの河行く舟に眠れども忘れがたきは君のくちづけまどろみの吐息は銀の蝶となり蜜の滴る汝が…

『ギャンブラーの数学』(J.メイザー著、日本評論社)を読む。 賭け事の必勝法を説いた本ではなく、賭け事の偶然について、歴史と数学、心理の三つの視点から考察した本。歴史を遡れば人間は古くから骰子遊びに興じていたようだ。この感じが骨偏であるように…

桜散り心も千々のモザイクへ乱れる恋の花は何処へ花びらは希望を乗せて東へと飛んでつながれまだ見ぬ友と襟元の花びらを取るふりをして手を伸ばすそのいたずらな目よまどろめば夢の河原に散る花は恋を織り込む帯と変わりぬひとひらの花びらほどのキスさえも…

『戦前昭和の社会』(井上寿一著、講談社現代新書)を読む。 戦前の昭和という時代がどのような世相であったかをまとめた新書。本書を読んで、それまで私が思っていたより当時はアメリカ化されていたということ、女性の社会進出がそれなりに進んでいたことが…

永遠を静かに語るスピノザと花散る下で語り合いたい狂おしき闇の桜の眼差しはわが胸を刺し過去呼び戻すなつかしい声は桜の精ですか恋の迷いを聞いてください別れゆく人と人とのつながりの架け橋となれ桜吹雪よ闇に散る花一条に流れゆき思い連ねるロザリオと…

晴れ渡る空は静かな恩寵の光を満たすいのちの海に

わが胸に潮満ちゆきて眠る夜母に抱かれし海を求める花と咲けわが恋心行く末は乱れ散るとも悔やむことなし添い歩く足軽やかにしてくれる春色の靴一人で磨く朝ぼらけ春外套に包まれて一人さまよう桜迷宮七分咲き八分九分へと開きゆく桜は時の流れを語る 春嶺の…

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『冗長性から見た情報技術』(青木直史著、講談社)を読む。 普段何気なく使っているインターネットやメール、それに添付する画像情報、CDやDVDではどのようにしてその情報を効率的に伝達しているかを、「冗長性」という言葉をキーワードにたいへん分かりや…

さよならと最後の言葉を交わしつつ去りゆく人の笑顔に涙つむいた君の視線の先を追うわが視線には恋の彩り空青く桜は艶に微笑みてすずろ心にさせる春の陽移ろわぬ恋をください夜桜がはかなき夢と消えるとしても一晩の恋の宴を楽しめと桜は告げる酔いし二人に…