2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『利他的な遺伝子』(柳澤嘉一郎著、筑摩選書)を読む。 人が自分を犠牲にする、自分の利益を省みない行動をとるのは何故なのかという問いに対して遺伝学者である著者の考えを平易に述べた一冊。冒頭にアーミッシュの子どもが暴漢に対してとった自己犠牲的行…

『戦前日本の「グローバリズム」』(井上寿一著、新潮選書)を読む。 『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書)が面白かったことと、本書がその第二部であること(第三部は講談社選書メチエとして近刊とのこと)から手に取った本。一般の印象とは異な…

『頭のでき』(リチャード・E・ニスベット著、ダイアモンド社)を読む。 『木を見る西洋人、森を見る東洋人』で有名なアメリカの心理学者による、知能は遺伝よりも環境によって規定されると主張する本。知能を規定する要因として遺伝も環境もともに重要であ…

『感覚の幽い風景』(鷲田清一著、中公文庫)を読む。 表題にのように”幽”が使われているように、この”くらさ”とは境界線がはっきりしない”くらさ”である。著者はさまざまなな感覚にまつわること(視線や声、肌触りなど)をめぐって考察をしていく。そして外…

『武士道』(相良亨著、講談社学術文庫)を読む。 スポーツの世界大会で日本人選手が”サムライ”と呼ばれたり、今度の震災で日本人の冷静な行動が武士道と結びつけられて報道されたりしていたが、武士道とはそもそもどんなものなのかと思い手にとった本。 著…

『内臓の発見』(小池寿子著、筑摩書房)を読む。 西洋美術で描かれているさまざまな身体、臓器をめぐるエッセー集。中世からルネサンス期の絵画が中心となるので、キリスト教にまつわるエピソードが多く紹介されている。研究書ではないので、キリスト教にお…

『ギリシア・ヘブライの倫理思想』(関根清三著、東京大学出版会)を読む。 西洋の倫理思想の淵源である古代ギリシアとヘブライに遡り、それぞれの特徴を明らかにしつつ、両者に共通する点を考察していく書。著者は両者に共通するものとして、「我々が我々を…

『敗北を抱きしめて 下』(ジョン・ダワー著、岩波書店)を読む。 下巻は東京裁判や憲法制定を巡っての記述が続く。この話題は他の歴史書でも取り上げられる戦後史の焦点であるが、本書であらためて知ったのは当時の言論や報道統制の厳しさだった。今でこそ…