2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ラカン派精神分析の治療論』(赤坂和哉著、誠信書房)を読む。 精神分析の臨床経験に即しながら、ラカン派の精神分析の理論と技法を解説する本。ラカン派の本はどちらかというと理論偏重なものが多い印象だが、本書は実践例が適切に織り込まれており、患者…

『絶滅危急季語辞典』(夏井いつき著、ちくま文庫)を読む。 『絶滅寸前季語辞典』に続く第二弾。一見しただけではどの季にあたるかはもちろん、どういうものを指示しているのかもよくわからないような季語が並べられ、これでもかと奮闘して作句する著者たち…

『ミシェル・フーコー』(重田園江著、ちくま新書)を読む。 『監獄の誕生』を取り上げて、フーコーの思考スタイルをみていく入門書。著者が最初に釘をさしているように「近代の規律について解説した本」ではない。著者の解説を聞きながらフーコーの作品を鑑…

『魂の変容』(中畑正志著、岩波書店)を読む。 心のはたらきについての諸概念の成立や変遷の過程を丹念に辿りながら、内なる心という概念がどのようにして形成されたかを「オブジェクト(対象)」、「感情」、「ファンタシアー(想像力)」、「志向性」とい…

『隠れていた宇宙』(ブライアン・グリーン著、早川書房)を読む。 宇宙(ユニバース)は本当に一つだろうか? この素朴だけど誰も本当の答を知らない疑問、ユニバースという語義からすると矛盾する質問に対して著者は語り続ける。インフレーション理論から…

『数学でわかる100のこと』(J・D・バロウ著、青土社)を読む。 著者は日常生活で私たちが何となく見過ごしてしまっていることから新鮮な驚きを取り出してくれる。まるで帽子の中から鳩を出すように。種はもちろんある、数学という種が。例えば、車のことを…

『ローマ人の物語 ローマ世界の終焉』(塩野七生著、新潮文庫)を読む。 毎年文庫化されるこのシリーズを読み続け、とうとう最後の物語となった。著者が最初に書いている、「亡国の悲劇とは、人材の欠乏から来るのではなく、人材を活用するメカニズムが機能…