2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『落語の国の精神分析』(藤山直樹著、みすず書房)を読む。 「落語」と「精神分析」? 「能」と「精神分析」や「禅」と「精神分析」といういかにもな組み合わせの書名はあったけれど、こんな異色な組み合わせの書名は初めてだ。でも幼い頃から落語に親しん…

『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』(D.アリエリー著、早川書房)を読む。 人はどのような状況にあるときに嘘をついたりずるをしたりするのか? 従来の経済学が教えるように便益と損失をすばやく計算して利益があればずるをするのだろうか? このシンプルな…

『不平等について』(ブランコ・ミラノヴィッチ著、みすず書房)を読む。 世界の経済的不平等や貧困について、現在だけでなく過去まで遡って考察してみようという本。「なぜなら、富と権力における差を見せつけることは、あらゆる人間社会に付きものだからだ…

『社会脳の発達』(千住淳著、東京大学出版会)を読む。 ヒトの社会行動の脳神経学的基盤(いわゆる「社会脳」)を研究する著者によるヒトの心の発達について解説した本。ヒトの脳機能の発達について、モジュール説、熟達化説、相互作用説があることを冒頭で…

『考える足』(向井雅明著、岩波書店)を読む。 大脳生理学や画像診断学、分子生物学などの進展によって急速な進歩のみられる脳科学の隆盛で人間の思考や感情を唯物的に解釈する動きがひろがる中、論理的還元的思考とは異なる”主体”的思考というものがあると…

『系統樹曼荼羅』(三中信宏著、NTT出版)を読む。 起源へと遡行すること、対象を分類することは人間の根源的な営みなのだということを豊富な図像とともに教えてくれる学際的な一冊。三章から構成され、第穵部生物樹、第II部家系樹、第III部万物樹という三幅…

『哲学の起源』(柄谷行人著、岩波書店)を読む。 前著『世界史の構造』は未読なのだが、本書はそこで論じきれなかった古代ギリシャ哲学についての論考をまとめたもので、いわば前著の補遺にあたるとのこと。著者のいう交換様式Dは、交換様式B(略取と再分配…