2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『天才を考察する』(D.シェンク著、早川書房)を読む。 並外れた天賦の才能というものは遺伝子で決まっているのか。遺伝か環境かという古くて新しい論争について環境の重要性を説く本。とはいっても遺伝子の発現(G)において環境要因(E)が影響する(G+E)…

『最悪のシナリオ』(キャス・サンスティーン著、みすず書房)を読む。 テロや地球温暖化による気候変動などのリスクをどう評価し、どのような対策をとっておくべきなのかについて、まず人が示す反応について理解し、次に低確率の災害リスクを伴う状況につい…

『人間 この信じやすきもの』(T.ギロビッチ著、新曜社)を読む。 教育程度が高い人でも誤った信念を抱いてしまうことがあるのは何故なのかを認知心理学的に考察した本。第一部の「誤信の認知的要因」では私たちの思考の”癖”が誤信を招きやすい性質をもった…

『ホテル・アイリス』(小川洋子著、幻冬舎文庫)を読む。 城壁のある海岸近くにあるホテル・アイリスを母と営んでいる私が、娼婦と衝突したロシア語翻訳家の男性と知り合い背徳的な逢瀬を重ねる物語。一連の著者の作品の中では異端的な作品になると思う。そ…

『身体の時間』(野間俊一著、筑摩選書)を読む。 「今」を生きるということを論理的や物理的にではなく、「身体」が今を生きているという観点から考察していく本。著者は精神科医という立場からこの「今を生きる」ということをPTSDや解離性同一性障害という…