2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『語りえぬものを語る』(野矢茂樹著、講談社)を読む。 ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』、『哲学探究』を軸に展開していく哲学エッセイ。分析哲学的論理が展開されるかというとさにあらず、むしろ分析哲学のタイルが敷き詰めきれない隙間にこそ重要…

『ぼくらはそれでも肉を食う』(ハロルド・ハーツォグ著、柏書房)を読む。 動物と人間の倫理的関係はどうあり、どうあるべきなんだろうかということについて考察した本。動物には人間とは基本的な違いはないとして動物にも権利を認めようと論じる本もあるが…

『全身翻訳家』(鴻巣友季子著、ちくま文庫)を読む。 池澤夏樹個人編集の世界文学全集ではヴァージニア・ウルフの『灯台へ』を翻訳した著者のエッセイ集。これを読むとやっぱり翻訳家って言語感覚が鋭いなあと感心する一方で、やっぱりおかしな人種だなあと…

『スプーンと元素周期表』(サム・キーン著、早川書房)を読む。 『世界で一番美しい元素図鑑』を楽しんだ後、書店で見つけて購入した。本書の冒頭で著者は幼い頃壊してしまった体温計からこぼれた落ちた水銀の不思議な魅力から元素の奥深い世界が広がってい…

『ロング・グッドバイ』(レイモンド・チャンドラー著、早川書房)を読む。 ハードボイルドの古典を村上春樹訳で読んだ。ミステリーはあまり読まないし、ハードボイルドとなるとなおさらなのだけど、村上春樹が訳しているのと、先に読んだ『生き方と哲学』の…

『生き方と哲学』(鬼界彰夫著、講談社)を読む。 著者のウィトゲンシュタインについての著作を以前読んだことがあるので、手に取った本。題名のとおり生き方について考えるとはどういうことかを真っ向から問う。著者はある対象について考える態度に二つある…

『利他学』(小田亮著、新潮選書)を読む。 直接的には自分の利益にならない行動をなぜ行うのかということ進化生物学の視点から考察する本。自分の適応度を下げる利他行動の受け手が血縁者である場合は、その行動が進化する可能性があるというハミルトンの法…

『宇宙は本当にひとつなのか』(村山斉著、講談社ブルーバックス)を読む。 最新宇宙論入門という副題があり手にとった本。前半の話題の中心は宇宙が暗黒物質に満ちているということで、観測結果からどうしてそういう解釈がなされているかをやさしく順序だて…