『数学でわかる100のこと』(J・D・バロウ著、青土社)を読む。
著者は日常生活で私たちが何となく見過ごしてしまっていることから新鮮な驚きを取り出してくれる。まるで帽子の中から鳩を出すように。種はもちろんある、数学という種が。例えば、車のことを例にとると、渋滞で隣の車線のほうが自分のいる車線よりも早く進むように見えるのはなぜか、自動速度取締機による取り締まり上の問題はなにか、車を押してガレージにいれるとき後ろの壁にぶつかる前に停止させるとしてできるだけ素早く入れて停止させるにはどう押せばいいか、車輪が正方形だとして乗る人の動きが直線状になめらかになる地面の図形があるかということを考える。どこから読んでもいいし、一節が短いので、電車に乗ってゆっくり座って本を読む時間がないときでも、乗車前に問題を読んでつり革につかまりながらあれこれと考えをめぐらせることもできる。私が面白いと感じた問題は、三つの物体の相互運動を考える問題(「二人なら仲間、三人なら仲間割れ」)、面接で最適の人を選ぶ戦略を考える問題(「秘書の問題」)、ある物事がどれくら持続するかを推量する問題(「ものごとはどれくらい長もちするか」)スパゲッティはどうして三つ以上に折れるを考える問題(「スパゲッティの破壊実験」)。エピソードとして面白かったのは「五角形より三角形が好きな大統領」、「微積分で長生きできる」、「最も悪名高き数学者」の三本でした。

数学でわかる100のこと_いつも隣の列のほうが早く進むわけ

数学でわかる100のこと_いつも隣の列のほうが早く進むわけ