『内臓の発見』(小池寿子著、筑摩書房)を読む。
西洋美術で描かれているさまざまな身体、臓器をめぐるエッセー集。中世からルネサンス期の絵画が中心となるので、キリスト教にまつわるエピソードが多く紹介されている。研究書ではないので、キリスト教における肉体、内臓の観念的理解からどのようにして実証的な解剖学的理解が生まれてきたのかという点については詳しくは触れられていない。本書では書かれていないが、狩猟や牧畜を通して動物を屠殺することの多かった文化からすると、動物の解剖から人間の内臓を理解することも多かったと推測されるが、その点はどうだったのだろう。
多くの図像が引用され解説が付されているが、やや羅列的になっている印象は否めない。

内臓の発見 (筑摩選書)

内臓の発見 (筑摩選書)