春祝いワイングラスに日曜の午後の光も満たし飲み干す

恋をするレンズを通して見た君を私の海馬に定着させる

服を脱ぎ鏡の中の隣人に恋打ち明けて夜は明けゆく

レーテーの河行く舟に眠れども忘れがたきは君のくちづけ

まどろみの吐息は銀の蝶となり蜜の滴る汝が花へ翔ぶ

春の野で抱かれし後のぬくもりは気怠き彩(いろ)の花となり咲く

待ちわびて指にリボンのお呪い私の声が届きましたか

海風に火照る体をさらしつつ夜明けの夢の君思い出す

この靴を履けば世界のどこにでも君の背を追い駆けていけそう