わが背(せな)で君が奏でた小夜曲は今も聞こえる春が来るたび

欲望と理性の危なきモザイクのわが存在は誰を求める

一晩の逢瀬は夢のごとく過ぎ息苦しさの残る翌朝

抱擁とキスに偽りないならば二人の中で時間が止まる

束縛の僕(しもべ)となりて背徳のくちづけを待つわれは堕天使

われは飼う恋が生み出すドラコンを嫉妬を糧に炎吹き出す

光なき現世の牢に縛られし口より漏るは君を恋う歌

吾と汝の光と闇が情熱の炎に融ける時はいつ来る

戯れに恋を知らない君宛にチョークで書いた愛の演算

五センチの隔たりすらもなきがごと熱き吐息は唇を刺す

唇に刻み込まれたキスの痕この罪背負う倫ならぬ恋