永遠を静かに語るスピノザと花散る下で語り合いたい

狂おしき闇の桜の眼差しはわが胸を刺し過去呼び戻す

なつかしい声は桜の精ですか恋の迷いを聞いてください

別れゆく人と人とのつながりの架け橋となれ桜吹雪よ

闇に散る花一条に流れゆき思い連ねるロザリオとなり

桜散る樹の下影でキスをする夢を現とする今宵かな

散り際は微笑みながら別れよう桜色した思い出刻み

わが肉は母より受けし細胞のキメラを宿し生の旅する

鴇色に染め上げられる空仰ぎ今日も新たな命をもらう

桜散る世界の底に永遠の静はありやと吹く風に問う

はらはらと花の命の絶えるとき別れし人の行く末想う

根の国へ誘う桜の妖しさに現は夢の傀儡となる

地の闇をほのかに照らす桜色死も束の間の華やかさ帯び

花びらは会えぬ人への口づけの代わりとなりて手のひらにあり

青空にトラムペットの音は響き桜は笑ういのちを讃え