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『日本語の深層』(木村紀子著、平凡社新書)を読む。
太古の日本語に息づいていたその当時の人々の感性を探るエッセイ。各章は独立しているので、どこからでも読める。私が面白いと感じたのは第六章の「ねる(練る)」ということばの深層にある「ゆっくりと時間をかけることによって力や価値を蓄え高める」という感性だった。この感性は「練り歩く」や「寝る」にも流れていることを知るとき、世界は大きく広がる。読書することで時空を超える楽しみを味わう瞬間である。これに続く第七章の「オニ(鬼)」についての考察や、第八章の「マ(真)」に対する古代人の思いについての考察を読むと、言葉によって古代人のこころと繋がる不思議な体験ができてしまう。私はへたな短歌をときどき詠んでいるけれど、歌を詠むという行為でどこか昔の人の思いと繋がっているのだという確信を深めてくれる本であった。
- 作者: 木村紀子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2011/02/16
- メディア: 新書
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今年咲く桜は淡い悲しみの色を滲ませ咲けよやさしく
風に乗り再起の祈りは東へと流れて花の精へと変われ