『なぜ生物時計はあなたの生き方まで操っているのか?』(ティル・レネベルク著、インターシフト)
単細胞生物から哺乳類までが持っている体内時計についての興味深いと同時に現代社会の暮らし方について考えさせる一冊です。この体内時計は誰もが持っているものでありながら、そのパターンは人によって違っていて、大雑把にいうと朝型か夜型かというパターンがあります。これを「クロノタイプ」と呼びます。このタイプは、誤解のないように急いで付け加えると、朝型、夜型と二分できるものではなく、睡眠の中央時刻の分布で示される(正規分布を示す)連続的なものです。そして睡眠時間と比例するものではなく、睡眠中央時刻が早い人でも睡眠時間が短い人もいれば長い人もいるのです。そして体内時計の周期はぴったり24時間ではないのです。体内時計は複数あり、そのマスターになるのが視交叉上核です。これがうまく体内時計を調整していますが、旅行での時差ぼけやシフト勤務などにより狂うことがあります。体内時計は男女間でも差があり、ライフステージによっても変化するということが示されており、老若男女間で見られる差が同居社会生活を営むときに支障が出てき得ることが示されていて、興味深いことです。さらにこうした時間時計が生殖のリズムやうつ病による自殺にも関係していること、さらには性格や職業選択にも影響しうることは驚きです。個人のクロノタイプにあったライフスタイルを選択できるようにすることでよりよい生活が営めるという主張は、難しいことではありながら実現させたいことだと大いに感じます。

なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか?

なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか?