統計学が最強の学問である』(西内啓著、ダイアモンド社)を読む。
大量の情報が溢れ、遅滞なき意思決定が求められる現代を生き抜くには、統計の知識が必須であることをやさしく説いた本。著者は疫学が専門で医学生物学畑なので、その分野の人にとってはしごくあたりまえのことを述べているに過ぎないのだけど、エビデンスがない分野(というかそれをつくろうとしない分野)の人にとっては目新しいかもしれない。情報は集めただけでは意味がない。目的変数を規定する説明変数を明らかにしてその関係(相関と因果)を明確にすること、同じように見える結果でも誤差の概念で意味が大きく違うことを説いている。医学生物学における統計のとらえ方に対して社会学や心理学分野での統計の考え方を対比させて説明しているところは、それぞれの考え方の違いがわかり興味深かった。短絡的な白か黒かという定性的判断に陥って自滅しないためにも統計的思考は社会に出る前に身につけておくべきサバイバルツールであろう。
関連する本:『完全独習統計学入門』(小島寛之著、ダイアモンド社)『統計学を拓いた異才たち』(D.ザルツブルグ著、日本経済新聞社出版局)『リスク・リテラシーが身につく統計学的思考法』(G.ギーレンンツァー著、早川書房

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である