『思い違いの法則』(W・ハーバート著、インターシフト)を読む。
私たちは日常生活でしばしば直感的に物事を把握し判断するが、そのときに脳がトップダウンで情報を処理する”癖”(ヒューリスティック)の例を20挙げて、解説する本。ヒューリスティックについては、認知心理学行動経済学などの本でよく取り上げられているが、本書は多くの種類を一冊にまとめ、身体的なもの、数字の認知にかかわるもの、意味づけにかかわるものに大きく分類しており、ヒューリスティック全般を俯瞰することができる。「心が冷えると温かいものが欲しくなる」、「先のことを考えただけで、体の忍耐力が高まる」、「定価は半端な数字の方がいい」などなど確かにと思うものが並んでいるが、それを裏付ける実験的な根拠などがきちんと述べられており、巻末にも文献が挙げられているので、さらに理解を深めることもできる。なくて七癖というが、こうした脳の癖をしることで、私たちは自分の人生をより快適なものにし、さらに他人をよりよく理解し、寛容になれるのではないかとも思う。
関連する本:『ずる』(早川書房)、『喜びはどれほど深い?』『スーパーセンス』『なぜ直感のほうが上手くいくのか』(いずれもインターシフト)

思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則

思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則