小川洋子の偏愛短篇箱』(小川洋子編著、河出文庫)を読む。
作家の小川洋子さんによる短篇アンソロジーで、2009年同社より発刊された単行本を文庫化したもの。不気味な味の短篇から細かい人間模様を描写した名品までさまざまな短篇が「箱」に収められている。16編のうち男性作家は9人、女性作家は7人。それぞれの短篇の後に編者の短い感想が付してあり、その偏愛度がどこにあるのかを伺える。〈奇〉、〈幻〉、〈凄〉、〈彗〉の4部に分けられているが、それぞれの部で私がいちばん楽しんだのは、〈奇〉『兎』(金井美恵子)、〈幻〉『春風は馬車に乗って』(横光利一)、〈凄〉『二人の天使』(森茉莉)、〈彗〉『雪の降るまで』(田辺聖子)。アンソロジーを読むと、いつも自分が今まで知らなかった世界を教えてくれ、心躍る。

小川洋子の偏愛短篇箱 (河出文庫)

小川洋子の偏愛短篇箱 (河出文庫)