『世界で一番美しい元素図鑑』(S.グレイ著、N.マン写真、創元社)を読む。
図鑑が子供の頃から好きだった。でも年をとるにしたがい見ることが少なくなるのも図鑑という本だ。本書は忘れかけていた図鑑を繰る胸のわくわく感を呼び覚ましてくれる。しかも元素というちょっと変わった材料で。著者は周期表をテーマにしたウェブサイトを主宰する”元素”コレクターと紹介されている(元素コレクターにとって手に入らない元素が4つあるがそれは何かも本書を読むと分かる)。どういう形でコレクションされているのかは本書を読むとわかる。さまざまな聞き慣れない元素が実は生活を便利にしてくれるということを教えてもくれるし、最近問題になっているレアアースとよばれるものに対する知識も本書を読むとさらに深まる。福島原発のせいで敵視されているセシウムルビジウムストロンチウムなどもこの本で眺めると実に美しい。そんな形而下のことなどこれらの元素たちは知るよしもなく、今日も地球のいろいろなところで存在していると思いながら頁をめくり、素直に驚き楽しむのが本書の楽しみ方だろう。

世界で一番美しい元素図鑑

世界で一番美しい元素図鑑