紅を引くなまめかしさは雨のせい鏡の奥の静けさやよし

肌寒き雨の五月の週末の人恋しさを紅茶に溶かす

飲み残す茶の澱ほどの思い出も残らぬものか時過ぎ去れば

手に残る碗のぬくもりは雨の夜あなたがくれたやさしさに似る

褐色の湯に踊る茶葉眺めつつ昇天堕落の輪廻を思う