『モンティ・ホール問題』(ジェイソン・ローゼンハウス著、青土社)を読む。
テレビ番組が発端になり数学者も間違えて議論になった確率の問題について、さまざまなバリエーションを考えながらベイズの定理や条件付確率を考える本。表題の問題は、以下のとおり

挑戦者の前に3枚の扉がある。1枚の扉の向こうには車が、残りの2枚の扉の向こうにはヤギがいる。挑戦者は、車の隠れている扉を当てれば勝ち。挑戦者が扉を1枚選択した後、司会者のモンティ・ホールは、残りの扉のうちヤギが居る方の扉を開けてヤギを見せる。そして挑戦者に、最初に選んだ扉を、残った開けられていない方の扉に変更するかを尋ねる。さて、車を当てる確率を高くするには、挑戦者は扉を変更すべきか?

本書ではこの問題の歴史的由来をふりかえったあと、上記の「標準的モンティ」問題をまず最初に考えます。これは条件付確率を勉強するのによい問題で確率に対する客観的な解釈と主観的な解釈が解説されます。それからさらに発展させて、扉がn枚あるという一般化を行い考察します。ここ(第4章)が胸突き八丁でここは紙と鉛筆があった方がいいです。さらに著者はこの問題がどうして難しいかを認知心理学的な点からも考察します。問題は異なりますが、こうした側面から条件的確率を論じた本として、『認知科学モノグラフ 確率の理解をさぐる』(市川伸一著、共立出版)もあわせて読むと面白いと思います。

モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説

モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説